- Profile
尾木直樹(尾木ママ) 教育評論家、法政大学教職課程センター長・教授、臨床教育研究所「虹」所長。
早稲田大学卒業後、私立高校、東京都公立中学校などで22年間ユニークで創造的な教育実践を展開。
現在も教壇に立つかたわら、子どもと教育、いじめ問題、メディア問題を中心に調査・研究、執筆・講演活動まで幅広く活躍する。
情報・バラエティ番組などにも多数出演し、「尾木ママ」の愛称で幼児からお年寄りにまで親しまれている。
- 2013-05-02
- 第4回 子どもの心に共感しよう
「正しい子育て」というものはないという尾木ママ。
これが正解というものがないからこそ、子育ては難しく、そして楽しいものなのかもしれません。
- ママスタのママの中にも子育てに難しさを感じている方もいると思います。そんなママにアドバイスをいただけますか?
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子育ては大変よね。優しく言い聞かせたいと思っていても、つい感情的に叱ってしまい後悔するなんてこともあると思います。
そんなとき、いつもだと叱りそうな場面で、ぐっとこらえて子どもに『どうしたの?』と優しく聞いてみて。この言葉を使うと、今まで怒ることに直結していた子どもの行動の理由が見えてくるんです。
そうすると、想像もしてなかった理由があって、『あ、そうなんだ』と思えることを発見できたりする。
そう、子どもの心が見えてくるんですね。
例えばこんな話がありました。ある保育園の男の子が、お手拭用のタオルをママが持たせても、いつもカバンの中に入れっぱなしで所定の位置にかけておかないから、先生が困ってたみたいなのね。そこでママが『どうしたの?なんでかけなかったの』って聞いてみたら、その子は、『保育園につくと友達がたくさんいるからすぐに遊びたくなっちゃって、タオルを出すのを忘れちゃうんだ』、と言ったの。それを聞いたママは「そうなんだ、この子は毎日保育園で友達と遊ぶのをとっても楽しみにしているんだ」って思ったら、叱るどころかわが子がすごくかわいく見えてきたそうです。
こんな風に、大人の要求に当てはまらない状況になった時、感情的に叱りつけるのではなく、まず『どうしたの?』と聞いてあげると、今まで気づかなかった子どもの心の動きを発見できるのよ。そうしたら、子どもがもっとかわいく見えてくる。怒っていたことなんて忘れて笑顔になれちゃうんですよ。
- そうなんですね!確かにさっきの男の子の心を想像して、とてもかわいらしく思いました。
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そうなの、『どうしたの?』と聞いて、返ってきた理由に“共感する”のがポイント。
子育てには褒めることも大事だけど、子どもの心に共感することが大切なんですね。
例えば、幼稚園に行きたくない、と子どもが言い出した時、頭ごなしに「行きなさい!」と言うのではなく、まずは「どうしたの?どうして行きたくないの?」と聞いてあげる。そうすると、子どもはどうして行きたくないかをちゃんと話してくれるはず。それに対して、共感してあげるの。
辛いことを抱えていたなら、その辛さに共鳴してあげる。子どもは、その辛さを受け止めてもらえたとわかったら、「心に元気」が出てくるのね。そうすると、自らの力でその問題を解決しようとする。
本当に子どもの持つパワーって無限なんですよ。その時に「あなた、勇気があるわね。」と具体的に褒めてあげることも忘れないでね。子どもは、親が思っている以上の行動を起こしたり、解決法を見出してくるから、それをちゃんと見ていてあげてね。
- 子どもの心に共感しやすくなるためにはどうしたらよいですか?
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共感するには、子どもをしっかり見ることが必要なのよ。時間をかけて、子どもが何にどう反応するか、何が好きか、何に興味を示しているかを見てみるの。忙しいお父さんも、週に1~2時間はまとまった時間をとって子どもを見ると、いろんな発見があるはずよ。そこから共感は生まれるんです。
それにね、天才と言われる子どもを育てた家庭の多くは、それがすごく自然にできているの。
子どもが興味のあることをまず「発見」して、それを伸ばしている。子どもの伸びる力ってすごいのよ。自分の子どもときちんと向き合う、見ていて好きそうなこと・得意そうなことを応援してあげるということ、これも大事な共感です。
- <尾木ママへの質問コーナー>
なぜ、おネエキャラになったのですか? -
おネエキャラとして知られるようになったのは、明石屋さんまさんがテレビで「ママ~」とふざけて言ったのがはじめなのよ~(笑)
僕のことを本当のおネエだと思っている人も多いみたいだけど、僕は妻もいるし、娘も二人いるのよ。これまでずっと教育の現場に携わってきて、尾木ママになる前も、教育評論家として何十年もテレビに出ていたの。おネエキャラで人気が出たのはほんとここ最近のことなんです。
でもさんまさんって、ほんとにすごいわね。僕の中にあるママ的な部分を引っ張り上げて、こんなに世の中に広めてくれるんですもの。家族もいつも言ってるわ。「なんで、普段のままのお父さんがテレビであんなにウケちゃうの?」って。
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怒りそうになったらぐっとこらえて、「どうしたの?」と聞いてみる。そこから子どもについて新しい発見があり、共感に繋がっていくんですね。
次回のコラムテーマは、「ママ友だけじゃなくて、パパ友も!」です。
お楽しみに。
(取材・文:上原かほり 撮影:chiai 協力:臨床教育研究所「虹」)
コメント
投稿者:AKI 2013-09-14 23:19:25
尾木ママの教育は教育者として私は一番良い先生です。 私は母や周りの人に甘えるな!と言われて育ちました。 だから、今でもどこを甘えてどこを甘えちゃいけないのかわかりません。 相談相手もいなく現在は人間不信で両親や兄弟も信じてないんですが、尾木ママと出会って自分が苦しんできたことにまるで味方がいるように感じました。 私も尾木ママの教育論を参考にしながら子育てにもアメとムチを使い分けて子育てしたいと思いました。 たしかに、私もいけないことはいけないと言いたいけど、ただ叱るだけより尾木ママの教育論の中で共感出来る部分を私もやりたいと思います。
投稿者:豆助 2013-05-04 22:16:32
子供から、笑ってくれないと言われる、いつも怒ってばかりのママです。少し余裕を持って接してあげたいです